ちょっといいですか。

 ワタクシは、教員養成に微力も微力ながら関わっている。なんとか学生たちを自治体に送り込んできた。その一人ひとりは、とてもすばらしい資質を備えた学生たちであった。

 このサイトの最初に書いてあるように、採用試験合格はとても狭く険しい道であると伝えてきた。

 それがいまでは、広い道である。

 教職は、人生を賭ける価値ある職だと伝えてきた。

 それがいま、ワタクシの中で、揺らいできている。そう伝えていいのかどうか。

 同級生から熱湯をかけられるいじめ。それが知らない間に起こる学校現場である。保護者から苛め抜かれて自殺してしまった教員もいた。欝で苦しみ、休職を余儀なくされる教員もいる。

 本当に、楽しい職場なのか。

 子どもたちを相手に、その成長を見守る仕事が、楽しいのか。そうじゃないんじゃないか。陰湿ないじめがはびこる教室が、そんなにいいところか。そんなふうに思えてきた。

 ちょっといいですか。

 テレビなどで報道されているような苦しい教育現場に、魅力があるか。疲れて家に帰れば何もできない教職に、魅力はあるか。土日もクラブがある。あなたはいつデートするの? 教員10人いたとして、ゆっくり本を読んでいる人って、何人いるの。もし読んだなら、それを教えてちょうだい。

 学習指導に生徒指導、校務分掌、保護者対応、警察との連携、地域の見廻り。やってもやっても仕事はなくならない。仕事が仕事を呼ぶ構造。どんどんどんどん歳はとる。昔のように、卒業生から声をかけられる先生って、何人ぐらいいるのだろう。

 終身在職でもなくなる。10年で免許はなくなるかもしれない。賃金は安い。それに対し、いまは景気がいい。雇用もささやかながら向上している。現職の先生、あなたはそれでも教職を勧めますか。

 ちょっといいですか。

 現職の先生に聞きたい。あなたは、本当に、仕事が楽しいですか。評価SやAがほしいために、校長に擦り寄って楽しいですか。なんで先生やっているんですか。辞めたら生活に困るからですか。そんな消極的理由で先生が勤まるのですか。給料が問題なら、もっといい職があったんじゃないですか。子どもたちと一緒にいて、心の底から、楽しいですか。本音はどうなんですか。

 現場を知らない国の役人やなんとか会議に振り回されて、気持ちよくないんじゃないですか。その上、文科省のキャリアが教育実習のような感じで現場に来るそうだけど、どう思いますか?

 ちょっといいですか。

 先生をめざす方に聞きたい。あなたはなぜ、先生になろうとしているんですか。テレビや新聞をご覧なさい。現場は無茶苦茶ですよ。あれだけ学級崩壊してて、なぜいきたいのですか。自殺予告文が発表されるご時世ですよ。あなたのクラスの子どもに、ひょっとしたらそういう子どもが出てくるかもしれないのですよ。それでもなお、教職を目指すのは、なぜですか。身分の安定も、将来はわかりませんよ。

 いまの先生になりたい情熱を、何年持続できますか。できると思っていますか。

 あなたが男性でも、女性でも、生徒から暴力を受ける可能性もあるのですよ。それでもほとんど傷害罪などで告訴できませんよ。そんな理不尽に遭遇したとき、どうするのですか。

 ちょっといいですか。

 いまの教育現場、だれも管理職になりたくないらしいですよ。上からも下からも注文をつけられる。上は教育委員会。下は教諭たち。現場のシンドサから、みんな腰が引けて、管理職になりたくないんですよね。その上、ヨコから保護者が、無茶いいますよ。

 昇進したくない現場なんて、一般企業ではないですよ。そんな現場に市場原理が導入されて、どう思いますか。

 権限が強化される管理職ですよ。魅力ないのですか。なんで校長や教頭になりたくないのですか。

 教職は、人生を賭ける価値ある職といい切れますか。もしいい切れるなら、その理由を教えてほしい。教員になりたい学生が、「教職っていい!絶対なる!」といってきたとき、なんと答える?

 教職が不人気なのはわかっている。しかし、それでもなりたくてたまらない学生もいるのである。



 ワタクシは、すごく迷っている。


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