香川教員採用試験対策レジュメ 

2005年夏実施・過去問の検討
問1

∇昨年夏に実施された1次試験の問題を解説していく。昨年も問題の傾向としては、複合的な問題構成で、形式自体は踏襲されたものである。今後もこの形式が続くであろう。大きくは5題の出題で、全20問であり、関連的な知識を問うものである。是非とも教職教養は満点をめざしてほしい。

 問題34は、教育法規の総合問題であったが、法規の語句に応じて教育心理学や日本教育史の関連問題も含まれている。教育基本法、学校教育法、地方公務員法、教育公務員特例法など、オーソドックスな法規が出題されている。記述を求める問題も難しいものではなかった。

 問題35は、教育答申を引用して作成された総合問題であった。出題されたのは、「初等中等教育における当面の教育課程及び指導の充実・改善方策について」であった。この答申が引用されるのは妥当なところであろう。昨年の中教審答申における目玉であったからである。ここでも語句関連の出題手法がとられ、西洋教育史が問われている。

 問題36は、人権教育、同和教育に関する単発的な問題の形をとりながら、実は最近の時事的な知識を問うている問題である。 

 問題37は、やさしい。PTSDの説明があり、選択肢から選ばせる問題である。 

 問題38は、「学校安全のための方策の再点検等について−安全・安心な学校づくりのための文部科学省プロジェクトチーム第一次報告−」を素材に学校安全に関する認識を問う問題であった。常識的な発想から解答できる問題であろう。

∇こうして簡単に問題を分析してみると、教職教養の多様な分野からまんべんなく出題されているといえる。なかでも児童生徒の安全面を注意し、「学校保健法」は毎年のように登場している。昨年夏は、「学校安全のための方策の再点検等について」まで出題された。ただしかし、教育色豊かな答申からの出題が比較的少なかったのがわかる。これは昨年と比べたときの大きな特徴である。だが、平成18年夏に実施される1次試験では、中教審や各調査研究会議が少なくない答申・報告・まとめを発表しているので、注意しなければならないであろう。

問題34 次の(     )内のT〜Zは、教育に関する法令からそれぞれ引用したものである。これらを読んで、あとの(1)〜(8)の問いに答えよ。

T 教育は教育は、(a)人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と( X )を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行わなければならない。【教育基本法より】

U 小学校においては、文部科学大臣の検定を経た(b)教科用図書又は文部科学省が著作の名義を有する教科用図書を使用しなければならない。【学校教育法より】

V 教諭は、(c)児童の教育をつかさどる。  (d)養護教諭は、児童の養護をつかさどる。【学校教育法より】

W 小学校には、設置者の定めるところにより、( Y )を置くことができる。
  ( Y )は、校長の求めに応じ、学校運営に関し意見を述べることができる。
  ( Y )は、当該小学校の職員以外の者で教育に関する理解及び識見を有するもののうちから、校長の推薦により、当該小学校の設置者が委嘱する。【学校教育法施行規則より】

X 職員は、条例の定めるところにより、(e)服務の宣誓をしなければならない。【地方公務員法より】

Y (f)任命権者が定める初任者研修及び《 N 》年経験者研修に関する計画は、教員の経験に応じて実施する体系的な研修の一環をなすものとして樹立されなければならない。【教育公務員特例法より】

[ 小学校は、その教育水準の向上を図り、当該小学校の目的を実現するため、当該小学校の教育活動その他の学校運営の状況について自ら点検及び( Z )を行い、その結果を公表するよう努めるものとする。【小学校設置基準より】

(1)( X )〜( Z )内にあてはまる語句を、それぞれ漢字で書け。ただし、同じ記号の空欄には、同じ語句が入るものとする。

(2)《 N 》内にあてはまる数字を書け。

(3)下線部(a)人格に関して、次の@〜Bの人物とA〜Cの項目との正しい組み合わせを、あとのア〜カから一つ選んで、その記号を書け。
人物 @ ユング        A クレッチマー      Bシュプランガー
項目 A 内向性と外向性    B体格と性格の相関     C 人間の性格を6種に類型化
ア @−A A−B B−C       イ @−A A−C B−B
ウ @−B A−A B−C       エ @−B A−C B−A
オ @−C A−A B−B       カ @−C A−B B−A

(4)下線部(b)教科用図書に関して、高松市立甲小学校において使用する教科用図書の採択権を有するのはどこか。次のア〜エから正しいものを一つ選んで、その記号を書け。
 ア 文部科学省   イ 香川県教育委員会  ウ 高松市教育委員会  エ 甲小学校

(5)下線部(c)児童の教育に関して、大正時代に展開された新教育運動の中心人物である鈴木三重吉は、大正7年に児童雑誌を創刊し、童話、童謡を芸術として深化させ、児童文学史上に大きな功績を残した。鈴木三重吉が創刊した児童雑誌の名称は何か。次のア〜エから正しいものを一つ選んで、その記号を書け。
ア 明星      イ 新思潮      ウ 赤い鳥      エ 種蒔く人

(6)下線部(d)養護教諭に関して、学校における保健管理又は安全管理について述べた次のア〜エの文のうち、正しいものを一つ選んで、その記号を書け。
ア 学校の設置者は、伝染病予防上必要があるときは、臨時に学校の全部又は一部の休業を行うことができる。
 イ 学校には学校医が置かれており、高等学校以外の学校には、学校歯科医及び学校薬剤師が置かれている。
 ウ 学校においては、児童生徒の健康診断票に加え、職員健康診断票を作成して、20年間保存しなければならない。
 エ 学校の飲料水及び水泳のプールの水質並びに排水の状況についての検査は、毎学期2回以上行う必要がある。

(7)下線部(e)服務に関して述べた次のア〜エの文のうち、誤っているものを一つ選んで、その記号を書け。
 ア 職員は、職務を遂行するに当たり、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
 イ 職員は、職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
 ウ 職員は、その職を退いた後であっても、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。
 エ 職員は、現職のままでは、長期にわたる研修を受けてはならない。

(8)下線部(f)任命権者について、坂出市立小学校の教諭の任命権を有するのはどこか。次のア〜エから正しいものを一つ選んで、その記号を書け。
ア 香川県知事    イ 香川県教育委員会    ウ 坂出市長    エ 坂出市教育委員会
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┣●┫(1)について
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●いうまでもなく、この条文は教育基本法第1条である。Xには、「正義」のほか考えられない。なお、ここで議論されるべきは、「真理と正義」を「愛する」ことである。一般論として、法律の文章に「愛する」というような人間の情動的、内面的な行為に関する語句を挿入していいかどうかという議論がある。「愛する」ことを法律で「強制」することに問題はないのであろうか。それが「真理と正義」であってもである。これについては直接本問と関係がないので、考える契機としてここに述べるに留める。
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●この条文は、学校教育法施行規則第23条のBよりの出題である。Yには「学校評議員」が入る。

■学校評議員は、いうまでもなく第16期中教審答申「今後の地方教育行政の在り方について」において教育行政における真の意味の地方分権化をめざして、制度改良の目玉として提案され、平成12年1月21日の学校教育法施行規則一部改正(23−3)を俟って新設された。

■学校評議員制度は、学外の教育的要望を校長が積極的に知り、それを理解することを助け、各学校の開かれた学校づくりを促進するねらいを持っている。その要望は、学校の教育目標や計画、学校の基本的運営方針にまでおよび、学校と学外との調整を担うといっていい。評議員は校長の求めに応じ、こうした要望や意見を述べるものの、それを必ず採用する責任を負わない。この学校評議員がブラッシュアップされ、大阪府高校では学校運営協議会として始動しているところもある。また、地域運営学校などチャータースクールにその理念が継承されているといえよう。
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◆平成12年1月21日「学校教育法施行規則等の一部を改正する省令の施行について」(通知)における説明抜粋
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 学校が地域住民の信頼に応え、家庭や地域と連携協力して一体となって子どもの健やかな成長を図っていくためには、今後、より一層地域に開かれた学校づくりを推進していく必要がある。こうした開かれた学校づくりを一層推進していくため、保護者や地域住民等の意向を把握・反映し、その協力を得るとともに、学校運営の状況等を周知するなど学校としての(あ      )を果たしていく観点から、省令において新たに規定を設け、学校や地域の実情等に応じて、その設置者の判断により、学校に学校評議員を置くことができることとするものであること。

(1)学校評議員の設置について

1.設置の在り方
本制度は、地域住民の学校運営への参画の仕組みを新たに制度的に位置付けるものであること、学校や地域の実情に応じて柔軟な対応ができるようにすることが望ましいことから、省令に学校評議員に関する必要な基本的事項のみを定めることとし、これを(い       )とするものではないこと。なお、省令に規定する学校評議員ではないが、これに類似する仕組みを既に設けている場合、今回の省令改正により、これを廃止又は改正する必要はないこと。

2.設置者の定め
人数や委嘱期間など学校評議員の具体の在り方については、当該学校の設置者(国立大学の附属学校にあっては学長。以下「設置者等」という)が定めるものとしたこと。

3.設置形態
学校評議員は学校毎に置くものであること。また、学校評議員は一人一人がそれぞれの責任において意見を述べるものであること。ただし、設置者等の定めや校長の判断により、必要に応じて、学校評議員が一堂に会して意見交換を行い意見を述べることができる機会を設けるなど、運用上の工夫を講じることにも配慮すること。

(2)学校評議員の運営について

1.校長が意見を求めること
学校評議員は、校長の学校運営に関する権限と責任を前提として、校長の求めに応じて意見を述べることができるものとしたこと。このため、校長は、自らの判断により必要と認める場合に意見を求めることとなること。その際、校長は、学校評議員の意見に資するよう、学校評議員に対し、学校の活動状況等について十分説明することが
必要であること。また、校長は、学校評議員の意見を参考としつつ、自らの権限と責任において判断し決定を下すものであること。

2.意見を求める事項
学校評議員は校長が行う学校運営に関し意見を述べるものであることから、学校評議員に意見を求める事項は、校長の権限と責任に属するものであること。また、学校評議員に意見を求める事項としては、例えば、(う       )、教育活動の実施、学校と地域の連携の進め方などといった学校運営の基本方針や重要な活動に関する事項が想定されるものであるが、具体的にどのような事項に関し意見を求めるかについては、校長自らが判断するものであること。

3.具体の運営方法等
学校評議員の具体の運営は、校長の責任と権限において行われるものであり、その際、校長は、その方法や手続について、設置者等の定める範囲内で必要な規程を定めることが可能であること。

(3)学校評議員の委嘱について

1.構成
学校評議員については、設置者等及び校長の判断により、学校や地域の実情に応じて、できる限り幅広い分野から委嘱することが望ましいこと。

2.要件
ア.学校評議員は、校長の求めに応じて校長が行う学校運営に関し意見を述べるものであることから、教育に関する理解をその要件とするとともに、責任ある判断に基づき意見を述べることが必要であることから、(え       )をその要件としたこと。このような観点から、学校評議員には、保護者や地域住民等を委嘱することを想定してい
るものであり、児童生徒を委嘱することは想定していないこと。
イ.学校評議員は、学校外から意見を聞くものであるという観点から、当該学校の職員(国立大学の附属学校にあっては、当該大学の職員)以外から委嘱することとし、その趣旨を明らかにしたものであること。また、教育委員会の委員や教育長その他の職員は、当該学校の設置管理者としての立場からその管理運営に直接又は間接に関係
するものであり、このような者を学校評議員として委嘱することは制度上なじまないものであること。

3.推薦や委嘱の手続等
学校運営に関する設置者及び校長の責任と権限を踏まえ、学校評議員は、校長の(お        )により設置者等が委嘱するものとしたこと。その推薦や委嘱に係る校長や設置者等の権限を制約するような運用とならないよう留意する必要があること。

4.身分取扱い
学校評議員の身分取扱いについては設置者の定めるところによるものであること。その際、(か        )に関する規定を設けることについても検討する必要があること。また、学校評議員の任期については、校長の求めに応じて校長が行う学校運営に関し意見を述べるものであることを踏まえ、学校や地域の実情に応じて設置者が定めるところによるものであること。

                            (以上、引用おわり)
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(再掲):小学校は、その教育水準の向上を図り、当該小学校の目的を実現するため、当該小学校の教育活動その他の学校運営の状況について自ら点検及び( Z )を行い、その結果を公表するよう努めるものとする。【小学校設置基準より】

●この条文は、小学校設置基準第2条である。Zには、「評価」が入る。平成14年3月29日、文部科学省が定めた「省令」(第14号)である小学校設置基準は、3章12条で構成されているが、その第1章・総則からの出題である。ちなみにこの「基準」は、学校教育法第3条「学校を設置しようとする者は、学校の種類に応じ、文部科学大臣の定める設備、編制その他に関する設置基準に従い、これを設置しなければならない」に基づいて定められたものである。以下、第1条から第4条までを取り上げ、穴埋めになったキーワードを書いてみよう。
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◆小学校設置基準第1条〜第4条
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第1条 小学校は、学校教育法その他の法令の規定によるほか、この省令の定めるところにより設置するものとする。Aこの省令で定める設置基準は、小学校を設置するのに必要な(き       )とする。B小学校の設置者は、小学校の編制、施設、設備等がこの省令で定める設置基準より低下した状態にならないようにすることはもとより、これらの水準の向上を図ることに努めなければならない。

第2条 小学校は、その教育水準の向上を図り、当該小学校の目的を実現するため、当該小学校の教育活動その他の学校運営の状況について自ら点検及び評価を行い、その結果を(く      )するよう努めるものとする。A前項の点検及び評価を行うに当たっては、同項の趣旨に即し適切な項目を設定して行うものとする。

第3条 小学校は、当該小学校の教育活動その他の学校運営の状況について、保護者等に対して積極的に(け      )を提供するものとする。

 第4条 一学級の児童数は、法令に特別の定めがある場合を除き、(こ    )人以下とする。ただし、特別の事情があり、教育上支障がない場合は、この限りでない。

(以上、条文引用終わり)
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┣●┫(2)について
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(再掲):(f)任命権者が定める初任者研修及び《 N 》年経験者研修に関する計画は、教員の経験に応じて実施する体系的な研修の一環をなすものとして樹立されなければならない。【教育公務員特例法より】

●文中のNには、「十(10)」があてはまるのはいうまでもないであろう。この条文は教育公務員特例法第25条である。

◆教育職員養成審議会答申「養成と採用・研修との連携の円滑化について(第3次答申)」(平成11〈1999〉年12月10日)の3「教員の各ライフステージに応じて求められる資質能力」では、初任者の段階・中堅教員の段階・管理職の段階と段階別に教員が備えるべき資質能力に触れている。
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◆教育職員養成審議会答申「養成と採用・研修との連携の円滑化について(第3次答申)」より抜粋==============================================================================================
初任者の段階では、「大学の教職課程で取得した基礎的、理論的内容と実践的指導力の基礎等を前提として、採用当初から教科指導、生徒指導等を著しい支障が生じることなく実践できる資質能力が必要であり、さらに、教科指導、生徒指導、学級経営等、教職一般について一通りの職務遂行能力が必要である。養護教諭については、心身の健康観察、救急処置、保健指導等児童・生徒の健康保持増進について、採用当初から実践できる資質能力が必要である」。

中堅教員の段階では、「 学級担任、教科担任として相当の経験を積んだ時期であるが、特に、学級・学年運営、教科指導、生徒指導等の在り方に関して広い視野に立った力量の向上必要である。また、学校において、(あ      )等学校運営上重要な役割を担ったり、若手教員への助言・援助など指導的役割が期待されることから、より一層職務に関する専門知識や幅広い教養を身に付けるとともに、学校運営に積極的に参加していくことができるよう(い        )、事務処理等の資質能力が必要である。養護教諭については、保健室経営の在り方、学校保健の推進等に関して広い視野に立った力量の向上が必要である」。

管理職の段階では、「地域や子どもの状況を踏まえた創意工夫を凝らした教育活動を展開するため、教育に関する理念や識見を有し、地域や学校の状況・課題を的確に把握しながら、学校の目標を提示し、その目標達成に向けて教職員の意欲を引き出すなどのリーダーシップを発揮するとともに、関係機関等との連携・折衝を適切に行い、組織的、機動的な学校運営を行うことのできる資質を備え、また、学校運営全体を視野に入れた総合的な事務処理を推進するマネジメント能力等の資質能力が必要である」。

(以上、引用おわり)
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◆研修改善の「具体的方策」として、同答申は、10年経験者研修に関し、

 教職経験者研修については、今後必要となる資質能力を有し、教育改革の実施に対応できる教員を確保する観点から研修内容の精選・見直しを図ること、研修参加者のニーズや学校の課題等に応じて多様な選択ができるようにするなどの改善を図ることなどを検討することが必要である。養護教諭については、保健教育に関する実践的指導力の向上の観点からその充実を図ることも必要である。

中堅教員の研修については、より一層職務に関する専門知識や教養を身に付け、また、(う         )を行うために必要な人事管理、(い       )、事務処理等の資質能力を高めることができるよう、研修の内容・方法を見直すことが必要である。

管理職研修については、一般に組織体の経営に必要とされる専門知や教養を身に付け、また、学校事務を含め総合的なマネジメント能力を高めることができるよう、管理職研修カリキュラムの開発を行うとともに、研修の内容・方法を見直すことが必要である。また、管理職研修と任用とを関連付ける方策を検討し、管理職試験についても、事前又は事後の研修の在り方と関連して、校長、教頭それぞれの職責に応じてその在り方を見直す必要がある。
幼稚園教員の研修については、その内容の専門性を高め、また、園研修を受けやすくするなどの環境整備に努めることが必要である。

盲・聾・養護学校等に転勤した教員等の研修については、障害がある幼児・児童・生徒や特殊教育に関する正しい理解が深められるようにする観点から研修の充実を図る必要がある。

◆10年経験者研修は、中教審答申「今後の教員免許制度の在り方について」(平成14年2月21日)の提案をもとに、同年6月「教育公務員特例法」が一部改正され、平成15年4月に施行された新しい研修機会の設定である。10年経験者研修は、教育公務員特例法24条が規定している。すなわち、
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◆教育公務員特例法24条
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公立の小学校等の教諭等の任命権者は、当該教諭等に対して、その在職期間(公立学校以外の小学校等の教諭等としての在職期間を含む。)が十年(特別の事情がある場合には、十年を標準として任命権者が定める年数)に達した後相当の期間内に、個々の能力、適性等に応じて、教諭等としての資質の向上を図るために必要な事項に関する研修(以下「十年経験者研修」という。)を実施しなければならない。
A任命権者は、十年経験者研修を実施するに当たり、十年経験者研修を受ける者の能力、適性等について評価を行い、その結果に基づき、当該者ごとに十年経験者研修に関する計画書を作成しなければならない。
B第1項に規定する在職期間の計算方法、十年経験者研修を実施する期間その他十年経験者研修の実施に関し必要な事項は、政令で定める。

(以上、教特法条文引用終わり)
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おそらくこの研修は、教員免許制度の更新制への一里塚と文部行政内部では捉えられているであろう。

◆ちなみに、初任者研修については、教育公務員特例法23条で規定されている。すなわち、
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◆教育公務員特例法23条
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公立の小学校等の教諭等の任命権者は、当該教諭等に対して、その採用の日から1年間の教諭の職務の遂行に必要な事項に関する実践的な研修(以下「初任者研修」という。)を実施しなければならない。
A任命権者は、初任者研修を受ける者の所属する学校の教頭、教諭又は講師のうちから、指導教員を命じるものとする。
B指導教員は、初任者に対して教諭の職務の遂行に必要な事項について指導及び助言を行うものとする。

(以上、条文引用終わり)
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昭和63年の改正から初任者研修制度は導入されている。

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┣●┫(3)について
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(再掲):下線部(a)人格に関して、次の@〜Bの人物とA〜Cの項目との正しい組み合わせを、あとのア〜カから一つ選んで、その記号を書け。
人物 @ ユング        A クレッチマー      Bシュプランガー
項目 A 内向性と外向性    B 体格と性格の相関     C 人間の性格を6種に類型化
ア @−A A−B B−C       イ @−A A−C B−B
ウ @−B A−A B−C       エ @−B A−C B−A
オ @−C A−A B−B       カ @−C A−B B−A

◆まず、ユングとはどのような人物であるのか辞典類で確認しておく。
(平凡社の『世界大百科』)
スイスの精神医学者。分析心理学の創始者。ケスウィルに牧師の子として生まれ、バーゼル大学医学部卒業後、チューリヒ大学の精神科でブロイラーの助手となる。フランスに留学、ジャネの下で研究し、帰国後、言語連想法の実験による研究で有名となる。S.フロイトの《夢判断》を読み感激したユングは、1907年にフロイトを訪ね、両者は協調して精神分析学の建設と発展に寄与する。09年にはフロイトとともにアメリカに講演旅行に行き、10年、国際精神分析学会の会長になるが、12年に発表した《リビドーの変遷と象徴》によってフロイトとの考えの相違が明らかとなり、論争を重ねた末に訣別する。
その後、13〜16年にわたって、強い方向喪失感に襲われ、後年エレンベルガーH. Ellenberger が〈創造の病〉と名づけたような内的危機に直面する。この時期に彼自身が体験した〈無意識の対決〉を基礎として、それに学問的検討を加えることによって、彼独自の分析心理学の体系が確立される。
 ユングは精神病者の幻覚や妄想が古来からある神話、伝説、昔話などと共通の基本的なパターンの上に成り立っていることを認め、〈元型〉という考えを19年に提唱した。彼は人間の無意識は個人的無意識と普遍的無意識の2層が存在し,後者はひろく人類に共通であり、そこに元型が存在すると仮定した。元型それ自体は人間にとって知ることができないが、元型的なイメージは意識によって把握され、それが宗教的なシンボルなどになると考えられる。したがって、世界の神話や宗教のシンボルについて研究すると、そこに共通する元型の存在を明らかにできるのである。
ユングはこのように西洋のみならずひろく全世界の宗教に目を向けていたので、早くも1920年代より、ヨーロッパ中心主義に反対し、そのころは絶対的な強さをもって欧米文化を支えていたキリスト教と自然科学を相対化する努力を続けた。彼はキリスト教や自然科学に反対するのではなく、あくまでそれを絶対化することに反対したのである。彼のそのような努力は《心理学と錬金術》(1944),《アイオーン》(1951),《結合の神秘》(1955〜56)などの一連の労作に示されている。彼はこれらの著作のなかで,ヨーロッパ精神史において正統派のキリスト教を補完し、より全体的なものを求める流れが存在してきたことを明らかにし、その意義を強調したのである。
彼はまた東洋にも深い関心を示し、中国の《易経》、日本の禅などの紹介にも努めた。彼が人間存在の全体性の元型として重視する〈自己〉の概念は中国の〈道〉の考えに影響されたものといわれている。自己のシンボルとしての〈マンダラ〉を重視した点にも東洋の強い影響が認められる。彼の考えは最初あまり理解されなかったが、70年ころより世界の人々の関心をあつめるようになっている。( 河合隼雄 )

(マイクロソフト『エンカルタ百科事典』)
ユング Carl Gustav Jung 1875〜1961 分析心理学の創始者。スイスに生まれ、チューリヒ大学で精神医学をおさめ、のちに精神分裂病研究で著名になるブロイラーのスタッフになってその指導をうけた。このことは、ユングがフロイトとことなって分裂病をベースに理論をくみたてていった理由のひとつになっている。その後、ヒステリーの意識下固定観念の研究で有名なフランスのジャネのもとでまなび、またフロイトの著作に感銘をうけて、1907年のウィーン精神分析協会に参加してフロイトとであい、国際精神分析学会の創設にアドラーとともに貢献して、その初代会長となった。当時ユングはすでに自らが考案した言語連想テストによって無意識の存在を認識し、コンプレックス(心的複合)という考えをもっていた。だからこそフロイトに接近したのであり、またフロイトもユングのそれらの業績を高く評価したのであったが、まもなく両者の考えが基本的なところで相違することが判明し、出会いからわずか6年後の1913年にユングはフロイトと訣別する。
その理由のひとつは、フロイトがリビドーを性的なもの(反理性的なもの)とみなしたのに対し、ユングはもっと一般的な心的エネルギーとみなした点である。さらに無意識に対しても、フロイトのように快感原則に支配された反理性的なものとは考えず、むしろ意識を補償する積極的、肯定的な機能をもったものとみなす一方、個人的無意識とならんで人類に普遍的な集合的無意識を仮定したことである。とくに後者は神話、昔話(→ 民話)、夢にあらわれてくると考え、それらの研究から後に元型(アーキタイプ)という考えがみちびかれた。たとえば、グレートマザー、影、アニマ、アニムス、ペルソナなどである。
ユングは自らの立場を分析心理学とよび、夢分析や転移の解釈などについても、フロイトのように分析者が合理的、理性的な態度によって一方的にあたえるものとは考えず、むしろ患者への共感的な態度のもとで、その解釈の内容を患者とともに吟味する姿勢が重要であることを指摘している。ユングは「補償」の考えを背景に東洋思想や神秘主義にも興味と理解をしめし、そのこともあって、その学説は文学をはじめ多方面の人文科学に影響をおよぼしている。

■問題としては、人格理論の中でユングがどのような類型化を試みたのかを知っていれば足りる。ユングは大別して人間性を2つに類型化した。ひとつは外向性(extroversion)であり、その対比としての内向性(introversion)である。外向性は、自分自身を外に顕現し、自己の行動を客観的に認められることを志向する特徴である。社交的な態度をとる。内向性は、これと逆に、関心が自己の内側に向き、他者に対する無関心となり、主観性を重んじる。どうしてこのような性格付けになるのか。それは、ユングのいうところのリビドー=「精神的なエネルギー」が内向きか外向きかによる。ユングは人間精神の機能を「感覚」、「感情」、「思考」、「直感」の4つであるとしたので、これらが外向・内向と関わることによってどのような人格があらわれるかを類型化した。それが次の2×4=8つのパターンである。
 @内向思考型 A外向思考型 B内向感情型 C外向感情型 D内向感覚型 E外向感覚型 F内向直感型 G外向直感型 こうした範疇のどれに所属するのかを試験するのが、向性検査である。

◆次に、クレッチマーとは、どのような人物であるのか。これも事典で確認しておこう。
(加藤正明ほか編集『精神医学事典』1975、弘文堂)
 チュービンゲン学派を代表するドイツの精神医学者。豊かな芸術的直観と厳密な科学的精神によって、妄想論、体質・性格論、精神療法論などの広範な領域に独自な完結した学問体系を打ちたてた。大学卒業後ウィネンタール州立病院を経てチュービンゲン大学のガウプ R. Gauppに師事し、1914〜18年には第一次大戦のため軍医となり、18年教授資格を取得、26年マールブルク大学教授となり、46年チュービンゲン大学教授に転じ、59年に退職、64年に死亡した。
 ガウプとの運命的出会いによって創造性が開化し、チュービンゲン時代に彼の主要著作のほとんどを完成した。彼は有名なガウプの症例ワーグナーとは対局的な視点から敏感性格者の妄想形成を分析し、「敏感関係妄想」 Der sensitive Beziehungswahn (1918)の中で、敏感関係妄想が特定の人格構造と特定の葛藤状況(鍵体験 Schlusselerlebnis)から出現し、人格、体験、精神病が一つの完結した全体をつくることを明らかにした。この著作の意義は大きく、妄想一般の成立機制の解明に寄与し、妄想疾患への精神療法の可能性を開くことになる。第一次大戦中、軍医として戦争神経症、器質的疾患に対する臨床経験を深め、この間の症例をもとにヒステリーの心理機制を、ヒステリー習慣、随意的反射強化法則、ヒステリー意志装置として総括して「ヒステリー・反射・本能」Hysterie, Reflex und Instinkt (1922)にまとめた。この間の治療経験は後年の激励法、分画能動催眠法などの精神療法となって結実する――「精神療法研究」 Psychotherapeutische Studien (1949)。後年彼が個体発生、系統発生的観点に立ち、精神生理的層次理論を確立し、下層意志−下層知性機制などの学説を展開するようになるのも当時の経験に負うところが大きい――「医学的心理学」Medizinische Psychologie (1922)。ここで見のがすことのできない歴史的事実は、当時出会った脳外傷後に妄想反応を呈した兵士の症例が彼の多元診断の古典的図式を提起する契機となったことである。多元診断とは、ある病像の病因となるさまざまな因子を分析することであり、同時にそれは多面的な治療への道を開くものである。
彼の後半生の研究生活の主要な部分を占める体格と性格に関する最初の構想はウィネンタール州立病院に勤務していた頃にさかのぼるものであり、ある種の精神疾患には一定の体格が対応していることに気づいでた。このことから彼は精神疾患から性格異常を経て正常の性格特徴にいたる連続した系列を仮定し、正常な性格特徴においてもある種の体験との関連のあることを実証することになる――「性格と体格」Koperbau und Charakter (1921)。
 彼の学問的体系を一貫して特徴づけているものは、たがいに相反するものが一つとなって機能する両極性の原理によって構成される類型学である。この特徴は彼の人格構造と無関係ではない。彼は体型的には肥満型であり、性格的には循環気質の際立った特徴を備えていたが、同時にこれと鋭い対照をなす分裂気質の側面を有していた。また彼は疑いもなく敏感性格者であり、強力性と無力性の部分とがあった。その内的葛藤が彼の場合には敏感関係妄想という形をとる代りに天才的創造活動を生みだしたのである。彼が「天才人」Geniale Menschen (1929)をあらわしたのも故なきことではない。(飯田 真)

■精神疾病と体格の間に一定の相関性を見出したクレッチマーは、大きく3つの人格類型として示した。(1)肥満型(2)細長型(3)闘士型がそれである。その人格的特徴を図示しておく。
類型 どのような病因と関連するか 気質の種類 性格的特徴
肥満型 躁うつ病 躁うつ気質 社交的・ユーモアがある・活発・善良・柔和
細長型 統合失調症 分裂気質 内気・生真面目・神経質・臆病・従順・鈍感
闘士型 てんかん 粘着気質 固執的・丁寧・興奮・激怒・自己主張強い・几帳面

クレッチマーは、「病前」つまり異常には至っていない健全な人の性格の中にも、「躁うつ気質(循環気質)」、「分裂気質(内閉気質)」がひそんでいると考え、これらの気質が外にあらわれたとき、精神病を発するとみなしたのである。
「躁うつ気質(循環気質)」の特徴 「分裂気質(内閉気質)」の特徴
@非社交的、静か、控えめ、まじめ、変人A臆病、恥ずかしがり、敏感、感じやすい、神経質、興奮しやすいB従順、気立てがよい、正直、落ち着き、敏感、鈍感 @社交的、善良、親切、温厚A明朗、ユーモアのある、活発、激しいB寡黙、平静、陰鬱、気が弱い

◆最後に、シュプランガーである。
1882〜1963 ドイツの哲学・心理学・教育学者。ベルリン大学卒業後、同大学私講師、ライプチッヒ大学教授、38歳でベルリン大学教授。1936年(昭和11)日独交換教授として来日,各地で講演を行う。1945年第2次世界大戦直後のベルリン大学総長になるが,同大学がソ連占領地区に入ったことなどもあって辞任。1946〜54年テュービンゲン大学教授。この間、ボン基本法制定にかかわり、ドイツの再建、とくに、思想的精神的な面での再興のために献身した。ドイツアカデミー会員。1963年、81歳でテュービンゲンに没。師ディルタイの「理解」の概念を継承発展させ、「精神科学的心理学」を樹立すると同時に、師パウルゼンの文化哲学の思想を中心に「文化教育学」を基礎づけ、20世紀の教育学の方向と尺度を与えた。主著としては『生の形式』(1921)、『青年期の心理学』(1924)があげられるが、フンボルト、ゲーテ、ペスタロッチなどの研究でも優れた業績を残している。『シュプランガー著作全集』全11巻(1969〜80)がある。

■シュプランガーは主著『生の諸形式』(1914)において、人間の精神作用を認識作用、審美的作用、経済的作用、宗教的作用、支配作用、共感作用の6つの作用として説明し、人間ひとりの精神全体の中でどの精神作用が支配的にはたらくかによってそれぞれ求められるべき価値が異なり、それに応じて人間の個性が形成されていくとし人格類型を6つに分けた。それが個性の理想的類型であり、理論的人間、審美的人間、経済的人間、宗教的人間、権力的人間、社会的人間である。
理論的人間 論理的な知識体系を探求することに価値観をおくTheoretical intention type。
審美的人間 繊細で敏感であり、美しいものに最高の価値をおくAesthetic appreciation intention type。
経済的人間 物事の経済性、功利性をもっとも重視するEconomical intention type。
宗教的人間 神への奉仕、神秘的なことへの興味を価値におくReligion intention type。
権力的人間 権力を求め、他人を支配しようとするPower intention type。
社会的人間 人間を愛し、協調していこうとすることへ価値を重要視するSocial intention type。

解答は、アの「@−A A−B B−C」となる。

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┣●┫(4)について
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(再掲):下線部(b)教科用図書に関して、高松市立甲小学校において使用する教科用図書の採択権を有するのはどこか。次のア〜エから正しいものを一つ選んで、その記号を書け。
 ア 文部科学省   イ 香川県教育委員会  ウ 高松市教育委員会  エ 甲小学校

◆本問の「小学校においては、文部科学大臣の検定を経た教科用図書又は文部科学省が著作の名義を有する教科用図書を使用しなければならない」は、学校教育法第21条である。

◆高松市立甲小学校つまり一般化していえば公立小学校であるが、公立小学校において教科書を使用する場合、だれがなにを使うか決めることができるのか。昭和38年に出された「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律」(平成15年7月最終改正)において確認しよう。

まず、同法第3章第10条では、「都道府県の教育委員会は、当該都道府県内の義務教育諸学校において使用する教科用図書の採択の適正な実施を図るため、義務教育諸学校において使用する教科用図書の研究に関し、計画し、及び実施するとともに、市町村の教育委員会及び義務教育諸学校(公立除く)の校長の行う採択に関する事務について、適切な指導、助言又は援助を行わなければならない」と書かれている。その指導・助言・援助ための機関として、条例で定められた20人以内で構成される「教科用図書選定審議会」(都道府県に設置される。設置期間は政令で定める)がおかれ、その意見を都道府県教育委員会が尊重して、市町村教育委員会による採択の運びとなる。

同法律の採択規定である第3章第13条第1項では、「都道府県内の義務教育諸学校において使用する教科用図書の採択は、第10条の規定によつて当該都道府県の教育委員会が行なう指導、助言又は援助により、種目ごとに一種の教科用図書について行なうものとする」と規定されている。

したがって、これを読めば、採択の権限は、文部科学省にあるのでもなく、各小・中学校にあるのでもなく、都道府県の教育委員会のいわば「見守り」の下で、市町村教育委員会にあるといわなければならない。なお、中等教育学校の前期課程つまり中高一貫教育校の中学部では、その学校そのものに教科書の採択権限がある。

ところで、都道府県教育委員会は、市や郡、またそれらを合わせた区域を採択地区として設定する。そこでは同一の教科用図書を採用することとなる。

 解答は、ウの「高松市教育委員会」となる

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┣●┫(5)について
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(再掲):下線部(c)児童の教育に関して、大正時代に展開された新教育運動の中心人物である鈴木三重吉は、大正7年に児童雑誌を創刊し、童話、童謡を芸術として深化させ、児童文学史上に大きな功績を残した。鈴木三重吉が創刊した児童雑誌の名称は何か。次のア〜エから正しいものを一つ選んで、その記号を書け。
ア 明星      イ 新思潮      ウ 赤い鳥      エ 種蒔く人

◆本問の教諭についての規定「教諭は、児童の教育をつかさどる」は、学校教育法28条の6に出典をもつ。

◆選択肢アの「明星」は、20世紀初頭に最盛期を誇った、ロマン主義を標榜した詩歌雑誌である。与謝野鉄幹、与謝野晶子らが新詩社を興し、8年間にわたって発行したものである。『みだれ髪』で名声を得た晶子は、この雑誌の中心人物である。戦場で命を失うことを望まないと本音を謳った『君死にたまうことなかれ』の詩は、日露戦争当時において庶民の共感をかった。それは、こうした詩が存在し流通するだけまだ権力者を含めた社会全体が健全な感覚を保持していたことを意味しよう。つまり、閉塞的状況でないことを示すものである。後に、石川啄木も参加。

◆新思潮は、文芸雑誌である。1907年、小山内薫が創刊し、東京大学系の同人誌として存続。文学史上で知られるのは第3次〜第4次新思潮の時代である。このときの同人菊池寛(大正8年、「恩讐の彼方に」を中央公論に発表。その後文芸春秋を創刊)、芥川龍之介、久米正雄(漱石の娘筆子との恋愛、その筆子を友人に略奪された)、松岡讓(奪った本人)らを新思潮派といい、大正文学の一つの拠点になった。1950年代にはあの三浦朱門が参加している。

◆本問の解答選択肢である『赤い鳥』は、問題文にあるように広島出身の鈴木三重吉が1918年に創刊した児童文学雑誌。漱石の弟子といっていい。漱石の小品『文鳥』に三重吉が登場している。泉鏡花(『高野聖』で有名な作家)、小山内薫(劇作家、上の『新思潮』を創刊。築地小劇場創立)、徳田秋声(金沢出身の作家、『黴』)、高浜虚子(子規門下の俳人。『ホトトギス』主宰)、芥川竜之介、北原白秋(上の『明星』出身の歌人。詩集『邪宗門』)、島崎藤村(自然主義文学作家、『破戒』)、鈴木三重吉。そのほか、谷崎潤一郎(『新思潮』に名を連ねた耽美的作家。『細雪』、『春琴抄』)、菊池寛なども「赤い鳥」に童話や童謡を執筆。このように一流の文豪がこの児童文学誌に出入りし、日本の児童文化の飛翔に大きな役割を果たした。

◆プロレタリア文学運動の拠点的雑誌として出発した『種蒔く人』は、1921(大正10)年創刊。創刊者の小牧近江がフランス滞在中に参加した、バルビュスの反戦運動=クラルテ運動の種を日本で蒔くという意図から命名。関東大震災で廃刊したが、『文芸戦線』として装いを新たに「復活」したといえる。

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┣●┫(6)について
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(再掲):下線部(d)養護教諭に関して、学校における保健管理又は安全管理について述べた次のア〜エの文のうち、正しいものを一つ選んで、その記号を書け。

 ア 学校の設置者は、伝染病予防上必要があるときは、臨時に学校の全部又は一部の休業を行うことができる。
 イ 学校には学校医が置かれており、高等学校以外の学校には、学校歯科医及び学校薬剤師が置かれている。
 ウ 学校においては、児童生徒の健康診断票に加え、職員健康診断票を作成して、20年間保存しなければならない。
 エ 学校の飲料水及び水泳のプールの水質並びに排水の状況についての検査は、毎学期2回以上行う必要がある。

◆本問の養護教諭についての規定「養護教諭は、児童の養護をつかさどる」は、学校教育法28条の7に出典をもつ。

◆選択肢アは、学校保健法第13条(臨時休業)の規定である。同法第12条と混同しないようにしたい。

法令 権限主体
出席停止 学校保健法第12条 校長は、伝染病にかかつており、かかつておる疑があり、又はかかるおそれのある児童、生徒、学生又は幼児があるときは、政令で定めるところにより、出席を停止させることができる。 校長
臨時休業 学校保健法第13条学校の設置者は、伝染病予防上必要があるときは、臨時に学校の全部又は一部の休業を行うことができる。 学校設置者

◆選択肢イは、学校保健法第16条に取材した誤りの文章である。正しくは、「学校には、学校医を置くものとする。A大学以外の学校には、学校歯科医及び学校薬剤師を置くものとする。B学校医、学校歯科医及び学校薬剤師は、それぞれ医師、歯科医師又は薬剤師のうちから、任命し、又は委嘱する。C学校医、学校歯科医及び学校薬剤師は、学校における保健管理に関する専門的事項に関し、技術及び指導に従事する。D学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の職務執行の準則は、文部科学省令で定める」である。

◆選択肢ウは、学校保健法施行規則第6条と学校教育法施行規則第15条に関連する。
学校保健法施行規則第6条・健康診断票の規定

学校においては、法第6条第1項の健康診断を行つたときは、児童、生徒、学生又は幼児の健康診断票を作成しなければならない。 2 校長は、児童又は生徒が進学した場合においては、その作成に係る当該児童又は生徒の健康診断票を進学先の校長に送付しなければならない。 3 校長は、児童、生徒、学生又は幼児が転学した場合においては、その作成に係る当該児童、生徒、学生又は幼児の健康診断票を転学先の校長に送付しなければならない。 4 児童、生徒、学生又は幼児の健康診断票は、五年間保存しなければならない。ただし、第2項の規定により送付を受けた児童又は生徒の健康診断票は、当該健康診断票に係る児童又は生徒が進学前の学校を卒業した日から五年間とする。

上記条文の「児童、生徒、学生又は幼児の健康診断票は、五年間保存しなければならない」をみれば一目瞭然であろう。

学校教育法施行規則第15条・備付表簿とその保存期間

学校において備えなければならない表簿は、概ね次のとおりとする。
一 学校に関係のある法令
二 学則、日課表、教科用図書配当表、学校医執務記録簿、学校歯科医執務記録簿、学校薬剤師執務記録簿及び学校日誌
三 職員の名簿、履歴書、出勤簿並びに担任学級、担任の教科又は科目及び時間表
四 指導要録、その写し及び抄本並びに出席簿及び健康診断に関する表簿
五 入学者の選抜及び成績考査に関する表簿
六 資産原簿、出納簿及び経費の予算決算についての帳簿並びに図書機械器具、標本、模型等の教具の目録
七 往復文書処理簿
A前項の表簿は、別に定めるもののほか、5年間、これを保存しなければならない。ただし、(あ                              )については、その保存期間は、20年間とする。
B学校教育法施行令第31条の規定により指導要録及びその写しを保存しなければならない期間は、前項のこれらの書類の保存期間から当該学校においてこれらの書類を保存していた期間を控除した期間とする。

これに照らし合わせれば、選択肢の「児童生徒の健康診断票」および「職員健康診断票」は、「四」に妥当する。したがってその保存期間は、「20年間」ではなく、「5年間」である。

◆選択肢エの「学校の飲料水及び水泳のプールの水質並びに排水の状況についての検査は、毎学期2回以上行う必要がある」と検査回数を表示しているが、法令に照らせば、2回以上との記述はない。あくまで「毎学年定期に」であるので、1年1回以上であればよいことになる。

学校保健法施行規則第22条の2・環境衛生検査について

法第二条 の環境衛生検査は、他の法令に基づくもののほか、毎学年定期に、次の各号に掲げる項目について行わなければならない。
一  飲料水及び水泳プールの水の水質並びに排水の状況
二  水道及び水泳プール(附属する施設及び設備を含む。)並びに学校給食用の施設及び設備の衛生状態並びに浄化消毒等のための設備の機能
三  教室その他学校における採光及び照明
四  教室その他学校における空気、暖房、換気方法及び騒音
五  その他校長が必要と認める項目
2  前項各号に掲げる検査の項目のうち、第四号に掲げるものは、地域の実情等に応じ検査の項目から除くことができる。
3  学校においては、必要があるときは、臨時に、環境衛生検査を行うものとする。

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┣●┫(7)について
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(再掲):下線部(e)服務に関して述べた次のア〜エの文のうち、誤っているものを一つ選んで、その記号を書け。
 ア 職員は、職務を遂行するに当たり、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
 イ 職員は、職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
 ウ 職員は、その職を退いた後であっても、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。
 エ 職員は、現職のままでは、長期にわたる研修を受けてはならない。

◆選択肢のすべて、主体が「職員」であるので、地方公務員法だとすぐに感じる必要がある。

アは、同法32条、「職員は、その職務を遂行するに当つて、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない」とあるので正しい内容である。

イは、同法33条、「職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない」とあるので、正しい内容である。

ウは、同法34条、「職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。A法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表する場合においては、任命権者の許可を受けなければならない。B前項の許可は、法律に特別の定がある場合を除く外、拒むことができない」とあるので、これも正しい内容である。

エは、同法39条、「職員には、その勤務能率の発揮及び増進のために、研修を受ける機会が与えられなければならない。A前項の研修は、任命権者が行うものとする。B人事委員会は、研修に関する計画の立案その他研修の方法について任命権者に勧告することができる」とあり、「研修を受ける機会が与えられなければならない」し、さらに、現職のままでも研修を受ける権利を持っている。

なお、教育公務員特例法第21条が、「研究と修養」に努めることを規定しているし、同法22条が、「教育公務員には、研修を受ける機会が与えられなければならない。A教員は、授業に支障のない限り、本属長の承認を受けて、勤務場所を離れて研修を行うことができる。B教育公務員は、任命権者の定めるところにより、現職のままで、長期にわたる研修を受けることができる」とはっきり謳っているので、この選択肢エが誤りである。

◆問題に引用された「職員は、条例の定めるところにより、服務の宣誓をしなければならない」は、いうまでもなく地公法31条である。

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┣●┫(8)について
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(再掲):下線部(f)任命権者について、坂出市立小学校の教諭の任命権を有するのはどこか。次のア〜エから正しいものを一つ選んで、その記号を書け。
ア 香川県知事    イ 香川県教育委員会    ウ 坂出市長    エ 坂出市教育委員会

◆教員の任命権の権限主体を問う問題である。私たちが教員になるには、公立の場合、採用試験を受けなければならない。それが教員採用「選考」試験である。その「選考」は誰がするのか。それは都道府県教育長である。私たちは、教育長に「選考」され、「合格者」名簿に登載され(第1段階)、次に、任命権者である都道府県教育委員会によって、各学校に配属され(第2段階)、晴れて教員となる。
 したがって、正しい答えは、イの「香川県教育委員会」となる。



★以上のような感じで、このあともレジュメはまとめられています。


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